「彼は顔が広い」を His face is wide. と書いたら、「彼の顔面は横に広い」という意味になってしまいます。
和文英訳の最大の壁は、実は英語力ではなく日本語の処理です。直訳できない日本語を、英語にできる日本語へ言い換える——これが「和文和訳」の技術です。
この記事のポイント
- 直訳できない日本語は「意味」に言い換えてから訳す
- 比喩・慣用句は中身の事実に開く
- 言い換えたら「誰が・何を・どうする」の形に整理して英語にする(「顔が広い」→「彼は・多くの人を・知っている」→ He knows a lot of people.)
問題
次の日本語を英語に直しなさい。
彼は顔が広い。
まずは自分で書いてみてください。
解答例
He knows a lot of people.
「顔が広い」=「知り合いが多い」と言い換えてから訳します。
解説
この問題のポイントは、比喩表現を「意味の日本語」に言い換えてから英語にすることです。
解答例の構造
- 「顔が広い」→(言い換え)→「多くの人を知っている」
- 言い換えた日本語なら knows a lot of people と直訳できる
- 和文 → 和文 → 英文の2段階で考える
よくある間違い①:比喩をそのまま直訳する
× His face is wide.
「顔が広い」は比喩です。文字どおり訳すと「顔面が物理的に広い」ことになります。意味(=知り合いが多い)に言い換えてから訳します。
○ He knows a lot of people.
よくある間違い②:「口が堅い」を直訳する
× His mouth is hard.
「口が堅い」=「秘密を守れる」という意味です。体の部位を使った日本語の慣用句は、まず意味に言い換えます。
○ He can keep a secret.
和文和訳の例(慣用句 → 意味 → 英語)
| 日本語 | 言い換え | 英語 |
|---|---|---|
| 顔が広い | 知り合いが多い | know a lot of people |
| 口が堅い | 秘密を守れる | can keep a secret |
| 気が長い | 忍耐強い | patient |
| 〜に目がない | 〜が大好きだ | really love 〜 |
| 腕を上げた | 上達した | have improved |
慣用句を見たら「要するにどういうことか」を日本語で言い直す——これだけで英訳の難度が一気に下がります。
練習問題
次の日本語を英語に直しなさい。
私は甘いものに目がない。
解答例と解説を確認する
I really love sweets.
「目がない」→(言い換え)→「大好きだ」
言い換えれば中学レベルの英語で書けます。
別解:I have a weakness for sweets.
別解:I like sweets so much that I cannot resist them.
もう1問、今度は入試レベルの抽象的な和文です。
人は自分の物差しで他人を測りがちだ。
解答例と解説を確認する
We tend to judge others by our own standards.
「自分の物差しで他人を測る」→(言い換え)→「自分の基準で他人を判断する」
比喩の「物差し」を standards(基準)に、「測る」を judge(判断する)に言い換えます。
別解:People tend to judge other people by their own standards.
