導入
英語の 5 文型を学ぶとき、最初に出てくるのが S・V・O・C・M という記号です。
第 1 文型は SV、第 2 文型は SVC、第 3 文型は SVO、というように、5 文型はこの記号を使って説明されます。
しかし、記号の意味があいまいなままだと、文型を正しく理解できません。
たとえば、次の文を見てください。
この文の a teacher は、目的語 O ではありません。
She = a teacher という関係があるので、a teacher は補語 C です。
一方で、次の文はどうでしょうか。
この文の a teacher は、「会った相手」です。
She = a teacher ではないので、a teacher は目的語 O です。
このように、同じように動詞の後ろに名詞があっても、役割が違うことがあります。
この記事では、5 文型を読むための基本記号である S・V・O・C・M を、大学受験に必要なレベルまで整理します。流れは次の通りです。
- 単元の中心イメージ — なぜ「品詞」ではなく「役割」を見るのか
- 基本用法(5 記号の概要) — S・V・O・C・M をそれぞれ最短で定義
- 応用例と判別のコツ — 実際の英文で見抜くときの考え方
- 大学受験で問われる重要ポイント — 入試で狙われる判別ルール
- よくある間違い — 受験生がやりがちなミス
単元の中心イメージ
S・V・O・C・M は、単語の「品詞」ではなく、文の中での「役割」を表す記号です。
ここが非常に重要です。
たとえば、名詞は主語 S にも、目的語 O にも、補語 C にもなります。
この文では、Tom が主語 S、music が目的語 O です。
この文では、Tom が主語 S、a musician が補語 C です。
どちらも名詞ですが、文の中での役割は違います。
つまり、文型を考えるときは、
「この単語は名詞か、形容詞か」
だけではなく、
「この語は文の中で何の役割をしているか」
を見る必要があります。
S・V・O・C・M の基本イメージは、次の通りです。
| 記号 | 英語 | 役割 |
|---|---|---|
| S | Subject | 文の主役(〜は/〜が) |
| V | Verb | 文の中心となる動詞 |
| O | Object | 動作の対象 |
| C | Complement | 主語や目的語を説明する語 |
| M | Modifier | 文に情報を加える修飾語(文型の中心には入らない) |
特に大切なのは、O と C の違い です。
O は動作の対象です。
C は、S や O と 意味上のイコール関係 を作ります。
この文では、a bag は bought の対象です。
I = a bag ではありません。
したがって、a bag は目的語 O です。
この文では、This bag = expensive という関係があります。
expensive は主語 This bag の状態を説明しているので、補語 C です。
このように、5 文型では「語の意味」だけでなく、「文の中での働き」を見ることが大切です。
基本用法(5 記号の概要)
ここからは、S・V・O・C・M を 1 つずつ、最短で確認します。掘り下げは次の「応用例と判別のコツ」セクションで行います。
S:主語
S は Subject の略で、主語を表します。
主語は、文の中心となる人・もの・事柄です。
日本語では「〜は」「〜が」にあたることが多いです。
この文では、Ken が主語 S です。
「誰が勉強するのか」を表しています。
この文では、The book が主語 S です。
「何がおもしろいのか」を表しています。
主語は、1 語だけとは限りません。
この文では、The boy in the park 全体が主語 S です。
ただし、in the park は The boy を説明する修飾語です。
文の中心だけを見ると、The boy is my brother. という形です。
主語が長くなっても、まず「何について述べている文なのか」を考えると見つけやすくなります。
V:動詞
V は Verb の略で、動詞を表します。
動詞は、主語の動作や状態を表す、文の中心です。
この文では、runs が動詞 V です。
この文では、is が動詞 V です。
be 動詞も、文型では V として扱います。
助動詞がある場合は、助動詞と動詞をまとめて「動詞部分」として見るとわかりやすいです。
この文では、can speak が動詞部分です。
文型を考えるときは、She can speak French. を SVO の形として見ます。
She が S、can speak が V、French が O です。
動詞は文型を決める中心です。
そのため、英文を読むときは、まず V を見つけることが重要です。
O:目的語
O は Object の略で、目的語を表します。
目的語は、動作の対象になる語です。
日本語では「〜を」「〜に」にあたることが多いですが、日本語訳だけで判断してはいけません。
この文では、a book が目的語 O です。
「何を読むのか」を表しているからです。
この文では、me が目的語 O です。
「誰を助けたのか」を表しています。
目的語には、名詞・代名詞・名詞句・名詞節などが入ります。
the answer は目的語 O です。
この文では、that he is honest 全体が目的語 O です。
このように、目的語は 1 語とは限りません。
「動詞の対象になっているまとまり」を見つけることが大切です。
C:補語
C は Complement の略で、補語を表します。
補語とは、主語 S や目的語 O の説明を補う語です。
補語がないと、文の意味が不完全になったり、文の中心的な意味が伝わりにくくなったりします。
補語には、大きく 2 種類あります。
① 主語 S を説明する補語
この文では、a doctor が補語 C です。
She = a doctor という関係があります。
この文では、tired が補語 C です。
He = tired という関係があります。
② 目的語 O を説明する補語
この文では、him が目的語 O、Ken が補語 C です。
him = Ken という関係があります。
この文では、me が目的語 O、happy が補語 C です。
me = happy という関係があります。
補語には、名詞や形容詞がよく使われます。
a teacher は名詞の補語です。
famous は形容詞の補語です。
C を見分けるときは、S = C または O = C の関係があるかを確認しましょう。
M:修飾語
M は Modifier の略で、修飾語を表します。
修飾語は、文に追加情報を与える語句です。
たとえば、時・場所・理由・方法・程度などを表します。
重要なのは、M は 5 文型の中心には入らないということです。
この文では、He が S、studied が V、English が O です。
in the library と yesterday は M です。
文型は SVO です。
in the library は場所、yesterday は時を説明しています。
これらを外しても、
He studied English.
という文の骨組みは残ります。
この文では、She が S、smiled が V、happily が M です。
happily は「どのようにほほえんだか」を説明する副詞です。
文型は SV です。
修飾語がたくさんつくと英文は長く見えます。
しかし、M を外して S・V・O・C を見つければ、文の骨組みはかなり見えやすくなります。
応用例と判別のコツ
ここからは、それぞれの記号を実際の英文で見抜くときに、つまずきやすい点を整理していきます。
S は文の主役になる
S は、文が何について述べているかを示します。
My sister が S です。
likes が V、tennis が O です。
この文は「私の姉」について述べています。
The students in this class 全体が S です。
are が V、active が C です(very は active を修飾する M)。
in this class は The students を説明する修飾語ですが、主語のまとまりの中に入っています。
長い主語を見たときは、中心となる名詞を見つけると読みやすくなります。
この文では、中心は The students です。
V は文型を決める中心になる
動詞 V は、文型を決める中心です。
動詞の後ろに何が続くかによって、文型が変わります。
この文では、runs の後ろに目的語も補語もありません。
文型は SV です。
この文では、tired が He を説明しています。
He = tired なので、文型は SVC です。
この文では、a newspaper が reads の対象です。
文型は SVO です。
このように、動詞の後ろを見ることで、文型が判断しやすくなります。
O は動作の対象になる
O は、動詞の対象です。
a new pen は bought の対象です。
I = a new pen ではありません。
したがって、a new pen は O です。
him が invited の対象です。
to the party は「どこへ招待したか」を表す修飾語です。
文型の中心は She invited him なので、SVO です。
ここで注意したいのは、前置詞の後ろの名詞 です。
Osaka は名詞ですが、in の後ろにあります。
文型上の目的語 O ではありません。
in Osaka は場所を表す修飾語 M です。
文型は SV です。
C は S や O を説明する
C は、S や O の説明です。
まず、S を説明する補語を見てみましょう。
This movie = exciting という関係があります。
exciting は主語を説明する補語 C です。
次に、O を説明する補語を見てみましょう。
この文では、the movie が O、exciting が C です。
the movie = exciting という関係があります。
同じ exciting でも、文の中で説明している対象が違います。
This movie is exciting. では、主語 This movie を説明しています。
I found the movie exciting. では、目的語 the movie を説明しています。
補語を見分けるときは、「何を説明しているのか」を確認しましょう。
M は文を詳しくするが、文型には入らない
M は文に情報を加える役割をします。
He が S、got up が V です。
early と this morning は M です。
「早く」「今朝」という情報を加えています。
I が S、met が V、my friend が O です。
at the station と after school は M です。
文型は SVO です。
M が多くなると、英文は長くなります。
しかし、文型を考えるときは、まず M を外して中心を見ます。
I met my friend.
これが文の骨組みです。
句や節も S・O・C・M になる
大学受験では、1 語だけでなく、句 や 節 が S・O・C・M になることがあります。
- 句 とは、主語と動詞を含まない語のまとまり
- 節 とは、主語と動詞を含む語のまとまり
この文では、To study English が S です。
「英語を勉強すること」が主語になっています。
この文では、to study abroad が O です。
want の対象になっているからです。
この文では、that we have no time が C です。
The problem = that we have no time という関係があります。
because he was tired は M です。
理由を説明している修飾語です。
このように、S・O・C・M は 1 語とは限りません。
「どこからどこまでが 1 つのまとまりか」 を意識して読むことが大切です。
大学受験で問われる重要ポイント
ポイント 1:S・V を最初に見つける
英文を読むときは、まず S と V を見つけましょう。
特に長文では、主語が長くなったり、修飾語が途中に入ったりします。
この文では、The man sitting next to me on the train が S です。
spoke が V です。
to me は修飾語です。
文の骨組みは、
The man spoke.
です。
sitting next to me on the train は、The man を説明する修飾語です。
主語が長くても、中心となる主語と動詞を見つければ、文の構造は見えやすくなります。
ポイント 2:M を文型に入れない
大学受験でよくあるミスは、修飾語 M を文型に入れてしまうことです。
この文では、She が S、studied が V、English が O です。
for two hours と in her room は M です。
文型は SVO です。
for two hours は時間の長さ、in her room は場所を表しています。
どちらも文型の中心には入りません。
修飾語を外すと、
She studied English.
となります。
文型判断では、この骨組みを見抜くことが大切です。
ポイント 3:O と C はイコール関係で見分ける
O と C の違いは、大学受験で非常によく問われます。
見分け方の基本は、イコール関係 です。
She = famous なので、famous は C です。
文型は SVC です。
She = a famous singer ではありません。
a famous singer は met の対象なので、O です。
文型は SVO です。
次に、第 5 文型も見てみましょう。
me = sad なので、sad は C です。
文型は SVOC です。
O と C を見分けるときは、
| 関係 | 文型 |
|---|---|
| S = C | 第 2 文型 SVC |
| O = C | 第 5 文型 SVOC |
| イコール関係がない | 目的語の可能性が高い |
と考えましょう。
ポイント 4:前置詞の後ろの名詞を O と混同しない
前置詞の後ろにある名詞は、文型上の目的語 O とは別に考えます。
the station は at の後ろにあります。
文型上の O ではありません。
文の中心は He arrived なので、SV です。
この文では、the station が reached の目的語 O です。
文型は SVO です。
用語確認:このように、目的語をとる動詞を 他動詞、目的語をとらない動詞を 自動詞 と呼びます。arrive は自動詞、reach は他動詞です。意味は似ていても、必要とする後ろの形が違うので、文型も変わります。
この違いは、大学受験でよく問われます。
ポイント 5:疑問文では O が前に出ることがある
文型を考えるとき、語順だけに頼ると迷うことがあります。
特に疑問文では、目的語が文の前に出ることがあります。
この文では、What が buy の目的語 O です。
普通の語順に戻すと、
You bought what.
という関係になります。
つまり、you が S、buy が V(did は助動詞)、what が O です。
この文では、Who が meet の目的語 O です。
疑問詞が文頭にあっても、動詞との関係を考えて役割を判断しましょう。
ポイント 6:品詞と文の役割を混同しない
S・V・O・C・M は 文の中での役割 です。
品詞とは別の考え方 です。
たとえば、名詞は S にも O にも C にもなります。
| 例文 | John の品詞 | John の役割 |
|---|---|---|
| John studies hard. | 名詞 | S(主語) |
| I know John. | 名詞 | O(目的語) |
| He is John. | 名詞 | C(補語) |
同じ John でも、文の中での役割は違います。
「名詞だから目的語」と決めつけてはいけません。
文の中で何をしているのかを見ましょう。
よくある間違い
間違い 1:動詞の後ろの名詞をすべて O だと思う
She = a teacher という関係があります。
a teacher は、become の対象ではありません。
主語 She を説明しているので、補語 C です。
一方で、次の文では a teacher は目的語です。
She = a teacher ではありません。
a teacher は met の対象なので、目的語 O です。
間違い 2:前置詞の後ろの名詞を文型上の O だと思う
Tokyo は名詞ですが、前置詞 in の後ろにあります。
in Tokyo 全体で場所を表す修飾語 M です。
文型の中心は He lives なので、SV です。
間違い 3:M を文型に入れてしまう
I が S、studied が V、English が O です。
yesterday は時を表す修飾語 M です。
目的語ではありません。
時・場所・方法を表す語句は、多くの場合 M です。
間違い 4:補語に副詞を使ってしまう
look が「〜に見える」という意味で使われるときは、第 2 文型 SVC になります。
happy は主語 She の状態を説明する補語 C です。
補語には形容詞を使います。
happily は副詞なので、この文では不自然です。
ただし、次の文では happily が正しく使われます。
この文では、happily は smiled を修飾する M です。
補語ではありません。
間違い 5:be 動詞の後ろをすべて C だと思う
in the classroom は場所を表しています。
She = in the classroom ではありません。
この文では、She is に場所の修飾語がついていると考えます。
一方で、次の文では C です。
She = a student なので、a student は補語 C です。
be 動詞の後ろにあるから必ず C、というわけではありません。
イコール関係があるかを確認しましょう。
間違い 6:O と C の関係を確認しない
私はその本がおもしろいとわかりました。
この文では、the book = interesting という関係があります。
the book が O、interesting が C です。
つまり、第 5 文型 SVOC です。
「おもしろい本を見つけた」と言いたいなら、次のように言います。
この文では、an interesting book 全体が O です。
I found the book interesting. と I found an interesting book. は、形も意味も違います。
理解を固める確認問題
S・V・O・C・M は、単語の品詞ではなく「文の中での役割」です。次の3問で、役割の見分け方を確認しましょう。
Q1. a doctor は O ですか、C ですか?
Q2. in Tokyo は文型に入りますか?
Q3. easy は何の役割ですか?
まとめ
S・V・O・C・M は、英語の文の中での 役割 を表す記号です。
| 記号 | 役割 | 例 |
|---|---|---|
| S | 主語 | Ken studies English. |
| V | 動詞 | She runs every morning. |
| O | 目的語(動作の対象) | I read a book. |
| C | 補語(S や O の説明) | She is kind. / We call him Ken. |
| M | 修飾語(文型の中心には入らない) | He studied English in the library yesterday. |
大学受験では、特に次の点が重要です。
- S・V を最初に見つける
- M を文型に入れない
- O は動作の対象、C は S や O の説明 だと考える
- S = C、O = C の関係を確認する
- 前置詞の後ろの名詞 を、文型上の O と混同しない
- 品詞と文の役割を区別する
5 文型を正しく理解するには、まず S・V・O・C・M の役割を正確に押さえる必要があります。
この記号がわかると、第 1 文型から第 5 文型までの違いがかなり見えやすくなります。
この章の進行
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次は、ここで身につけた S・V・O・C・M の感覚を使って、5 文型 1 つひとつの形と判別法 を見ていきます。
